ラベンダーさんの育て方

植物擬人化小説

達せよメロスⅨ世 (原作:走れメロス) 中級編

達せよメロスⅨ世

作者:田谷野航

原作者:断罪の治(太宰治)

 

すごい中二病

 

 

メロスⅨ世は覚醒した。
此度の転生を犠牲にしても、あの伝説の血も涙も得られなかった創造主を
輪廻転生の輪から解放しなければならぬと断罪の治に誓った。

メロスⅨ世は森羅万象の理を会得できなかった。
メロスⅨ世は、ギルドの執行人である。
魔笛を吹き、ドラゴンと戯れて暇を潰した。

だがしかし――漆黒の堕天使と対面しては第三の眼を以って正体を見抜いた。
Ⅻの輪に囚われた子と丑の国境線上にて、メロスⅨ世はギルドから転移し、
ナツーメ大陸を超えアクター・ガワ山脈を超え、とおの連邦国家ほど離れた
此の神聖シラクスのバザールに到達した。

メロスⅨ世にはもはや自身の能力を抑える神も、女神の加護もない。
16000を迎える、探究を悦とする妹と二人で今世の暇を楽しんでいる。
この妹は、ギルドの或る【ルール・ブック】と呼ばれる一執行人を、
近年、血と能力の契約者としてメロスⅨ世の軍門に下らせることになっていた。
契約の儀式を控えているのだ。

メロスⅨ世は、それゆえに――……血と能力の眷属の装備やら
天使共の宴の最後の晩餐などなどを求めに、ハルバール・バザールに到達したのだ。

先ず、それら神々の遺産《レガシー》を手に入れ、それから帝都のダンジョンで
レベルを上げた。

メロスⅨ世にはバンブードラゴンの戦友があった。セリヌンティウス卿である。
今は此の神聖シラクスのハルバール・バザールで、クリスタル職人をしている。
その戦友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。
前回の転生では逢わなかったのだから、訪ねて行くのが、楽しくないわけがない。

横行闊歩しているうちにメロスⅨ世は、帝国の雰囲気から陰謀を悟った。
「人間の物語が生まれぬ」
もう既にアマテラスは死に絶え、帝国の死期が近いのは周知の事実だが、
だがしかし、だがしかし!! これはメロスⅨ世の即位のせいばかりでは無く、
ハルバール・バザール全体が、やけに中二病が蔓延している。

力をみなぎらせたゆえに油断しているメロスⅨ世も、
だんだん暗黒面に沈んでいった。

ダンジョンで逢った若い冒険者たちを捕虜にして、神秘なる事象があったのか、
二千年前に此のハルバール・バザールに到達した時は、メロスⅨ世が即位した時でも全生命が呪文を唱えて、帝国は植民地から税を搾り取っていた筈だが、と拷問した。

若い冒険者たちは、メロスⅨ世の魔力に当てられ返事のできない屍になっていた。

かなりの時を刻み、横行闊歩して元老に逢い、ここで逢ったが解脱後、
詠唱に膨大な魔力を込め拷問した。
元老はまたもや屍になった。
メロスⅨ世は二つの呪詛が込められた手で元老の身体を超振動させ、拷問を
重ねた。
元老は、ミドリムシのような地獄の声で、かろうじて真理を垣間見せた。

「断罪の治も驚きであろうな」

――――完――――

 

――日いずる国の言葉――


メロスⅨ世は覚醒した。
此度の転生を犠牲にしても、あの伝説の血も涙も得られなかった創造主を
輪廻転生の輪から解放しなければならぬと断罪の治に誓った。

(メロスは激怒した。
必ず、かの邪智暴虐の王を
除かなければならぬと決意した)

メロスⅨ世は森羅万象の理を会得できなかった。
メロスⅨ世は、ギルドの執行人である。
魔笛を吹き、ドラゴンと戯れて暇を潰した。

(メロスには政治がわからぬ。
メロスは、村の牧人である。
笛を吹き、羊と遊んで暮して来た)

だがしかし――漆黒の堕天使と対面しては第三の眼を以って正体を見抜いた。
Ⅻの輪に囚われた子と丑の国境線上にて、メロスⅨ世はギルドから転移し、
ナツーメ大陸を超えアクター・ガワ山脈を超え、とおの連邦国家ほど離れた
此の神聖シラクスのバザールに到達した。

(けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
きょう未明メロスは村を出発し、
野を越え山越え、十里はなれた
此のシラクスの市にやって来た)

メロスⅨ世にはもはや自身の能力を抑える神も、女神の加護もない。
16000を迎える、探究を悦とする妹と二人で今世の暇を楽しんでいる。
この妹は、ギルドの或る【ルール・ブック】と呼ばれる一執行人を、
近年、血と能力の契約者としてメロスⅨ世の軍門に下らせることになっていた。
契約の儀式を控えているのだ。

(メロスには父も、母も無い。
十六の、内気な妹と二人暮しだ。
この妹は、村の或る律気な一牧人を、
近々、花婿として迎える事になっていた。
結婚式も間近かなのである)

メロスⅨ世は、それゆえに――……血と能力の眷属の装備やら
天使共の宴の最後の晩餐などなどを求めに、ハルバール・バザールに到達したのだ。

(メロスは、それゆえ、花嫁の衣裳やら
祝宴の御馳走やらを買いに、はるばる市にやって来たのだ)

先ず、それら神々の遺産《レガシー》を手に入れ、それから帝都のダンジョンで
レベルを上げた。

(先ず、その品々を買い集め、それから都の大路を
ぶらぶら歩いた)

メロスⅨ世にはバンブードラゴンの戦友があった。セリヌンティウス卿である。
今は此の神聖シラクスのハルバール・バザールで、クリスタル職人をしている。
その戦友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。
前回の転生では逢わなかったのだから、訪ねて行くのが、楽しくないわけがない。

(メロスには竹馬の友があった。セリヌンティウスである。
今は此のシラクスの市で、石工をしている。
その友を、これから訪ねてみるつもりなのだ。
久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが楽しみである)

横行闊歩しているうちにメロスⅨ世は、帝国の雰囲気から陰謀を悟った。
「人間の物語が生まれぬ」
もう既にアマテラスは死に絶え、帝国の死期が近いのは周知の事実だが、
だがしかし、だがしかし!! これはメロスⅨ世の即位のせいばかりでは無く、
ハルバール・バザール全体が、やけに中二病が蔓延している。

(歩いているうちにメロスは、まちの様子を怪しく思った。
ひっそりしている。
もう既に日も落ちて、まちの暗いのは当りまえだが、
けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、
市全体が、やけに寂しい)

力をみなぎらせたゆえに油断しているメロスⅨ世も、
だんだん暗黒面に沈んでいった。

(のんきなメロスも、
だんだん不安になって来た)

ダンジョンで逢った若い冒険者たちを捕虜にして、神秘なる事象があったのか、
二千年前に此のハルバール・バザールに到達した時は、メロスⅨ世が即位した時でも全生命が呪文を唱えて、帝国は植民地から税を搾り取っていた筈だが、と拷問した。

(路で逢った若い衆をつかまえて、何かあったのか、
二年まえに此の市に来たときは、夜でも
皆が歌をうたって、まちは賑やかであった筈はずだが、と質問した)

若い冒険者たちは、メロスⅨ世の魔力に当てられ返事のできない屍になっていた。

(若い衆は、首を振って答えなかった)

かなりの時を刻み、横行闊歩して元老に逢い、ここで逢ったが解脱後、
詠唱に膨大な魔力を込め拷問した。
元老はまたもや屍になった。
メロスⅨ世は二つの呪詛が込められた手で元老の身体を超振動させ、拷問を
重ねた。
元老は、ミドリムシのような地獄の声で、かろうじて真理を垣間見せた。

(しばらく歩いて老爺に逢い、こんどはもっと、
語勢を強くして質問した。
老爺は答えなかった。
メロスは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を
重ねた。
老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた)

「断罪の治も驚きであろうな」

(太宰治もびっくりだよ)