ラベンダーさんの育て方

植物擬人化小説

第4輪 始動、精油計画2 【ラベンダー】

ここでクイズです! 誰がどの植物でしょ〜うか!?
想像するのってワクワクしない?

バイオレット

 

世界論争

 


ラベンダーはぐるりと円卓テーブルを見まわした。

『真の薫香』、『没薬』、『癒す者』、『魔法の粉』、『銃火器』、『銀の狐』、『退魔の草』、『貴族の花』、『星の王子』、『待つ者』、『海賊』、『嵐の大軍』
『独裁者』、『首領』。

どれも実力のある屈強な大神霊たちで、全員《ぜんいん》大人だ。

1万年なんてざらに生きている。

「俺ァ反対だぜ! 徹底的に反対だ! オリちゃん」

「議会中は礼名で呼べと言ってるだろう、『魔法の粉』」

グランド・マスター『真の薫香』が言った。

今回の議題は、大戦での人間のサポートについてだ。

礼名とは、一人前の精霊が名乗るもう1つの名前だ。その精霊の特徴を表しており、慣例《かんれい》として自分の師匠や、お世話になった人につけてもらう。ラベンダーには『洗い草』という礼名がついていた。

公《おおやけ》の場では礼名で呼ぶのが基本だ。名前を呼ぶのは失礼にあたる。

「どうして俺たちが何もかもサポートしねェといけねえンだっつってんの!!」

『魔法の粉』——シナモンは不満を爆発させていた。

激情と一緒に、周囲に彼の香りがばらまかれる。

ラベンダーは不快に思った。

声がうるさいから、やはり離れて座って正解だった。

いい歳して、礼名で相手を呼ばない、自分の香りをばらまく。周囲の迷惑を考えないシナモンを最低の花だと思った。

こういう場で自分の香りを出すという行為は、相手に銃口を向けるのと同じことだ。シナモンの今の香りならば確かに問題はないが、とはいえマナー違反だ。

それに、ラベンダーが知る限り、紀元前の頃からずっとスーツを着ている。ファッションに無頓着なのもマイナスポイントだ。

周りの精霊たちは慣れているのか、無視していた。

『没薬《もつやく》』が『真の薫香』をフォローする。

「大国同士の動きがどうもキナ臭い。おまけにサンタたちが活発に動いてる。いままで見たことのない規模でだ。これはデカい戦争が来るぞ」

ラベンダーは頭の中のホワイトボードに書かれた勢力図を見た。

今のヨーロッパの勢力は

イングランド、エグザゴンヌ(フランス)、ロシア帝国

      VS 

ドイツ帝国、オーストリア=ハンガリー帝国、イタリア

戦争こそしていないが、2つの勢力に分かれて火花を散らしている。


(私もアカデミー生時代は、二大勢力のうちの1つを率いて、戦ったものよ。成長に争いは欠かせないものね。

サッカー、バスケ、12の難行、オペト大祭、ミイラ作り。盗んだニンゲンのチャリオットで競争したこともあったわ。

そのときはチャリオットの運転がうまくできなくて、何人ものニンゲンを轢《ひ》いてしまったの。タイヤに絡《から》まったニンゲンのせいで友人のエストにも負けちゃうし。でもそのおかげで、精霊たちが勝たせたい国が戦争に勝利し、少しの間平和になったわ。あの頃が懐かしい)


シナモンの勢いは止まらない。

「だからって、なんで俺たち植物がサポートしねェといけねえんだ! 俺たちがやるべきなのは、戦争を激化させて人間をバランスよく衰退させることだろ!」

『没薬』が言った。顔の肌が見えないほど包帯をぐるぐる巻いてるので、表情はわからない。

「そうも言ってられんだろう。下手に激化させればあいつら、兵器を使って自然を荒らしまくるぞ。おまえの言うとおり、やる気を削《そ》ぐことも大切だが、あんまり弱らせると、戦後の後始末が大変だ。国をイジめすぎると、国民が苦労する」

「俺たちはニンゲンからイジめられ続けて、養《やしな》ってもらったことなんか1回もねえがな」


(このニンゲンというのは人間《ヒューマン》の差別用語。え、なに? 私も差別してるって? あたりまえでしょ! 私はこの本が児童書で、読者がニンゲンの子供でも容赦しないわ。現実を教えてやってるんだから感謝しなさい!)


その言葉をきっかけに、世界論争が勃発した。

精油を人間界に広めろって? 戦争が始まるのにそんなことやってたら、たくさんの生き物が死んじゃうし、自然が荒らされちゃうよ