ラベンダーさんの育て方

植物擬人化小説

第26輪 良き思い出ほど、泡のように消えてしまう

パパ……思ってたプレゼント、これじゃない

マノン・ガトフォセ

 

百年に一度のサンタ祭

 

 

 マノンはピエールと学校から帰っていた。

「だからわたし、一週間も入院してたんだ」
「そうだったんだね」
「頭ぶつけてから二日も寝てたんだけど、もっと何か、長く寝てたような感じなんだよね」
「気のせいだよ。ところで、もうすぐクリスマスだね」
「ね~。ピエールは、クリスマスおじさんっていると思う?」
「あたりまえでしょ。いなかったら、誰がプレゼントくれるのさ」
「親に決まってるでしょ」
「親じゃないよ!」
「だってわたし会ったことないもん。クリスマスおじさんなんて、けっきょく作り話だよ」
「絶対いるってば! クリスマスのとき、ずっと起きてようと思うんだ。で、クリスマスおじさんがプレゼント置きに来たら、こう言うんだ。いつもありがとうって。マノンちゃんさ、霊が見えるんだったら、クリスマスおじさんだって見えるでしょ?」
「見たことないんだから、いないのよ! もう14歳なんだから、クリスマスおじさんを見る前に現実を見なさい! そもそも、いたらいたで、とっくに大人たちが見つけて、プレゼントを独占してるに決まってるし、トナカイやソリを調べて、軍事技術として利用してるでしょ。子どもにプレゼントなんかまわってくるわけない」
「夢壊れるなあ……」
「知ってる? 世の中ってそんなもんよ」

 マノンはクリスマス・イヴの夜、不思議な夢を見た。
 寝ている自分のとなりに、赤い服を着た男性が立っている夢だ。

「やっぱり肉体に戻ったら、忘れちゃうよね」

「マノンちゃん、サンタを代表して君に感謝するよ。ありがとう。うちのボスも、冥王も、みんな言ってるよ。小さなヘラクレスが助けてくれたって」

「ささやかだけど、プレゼントを贈らせてくれ」

「君は、ラベンダーの影響か、本人の香りを嗅いでるせいか、けっこう無茶をする」

「だから、君には冷静さをあげよう」

「それともうひとつ、特別なプレゼントがあるんだ」

「人間にこのプレゼントを渡すのは、第七文明史上初めてだと思う。自慢していいよ」

 マノンは不思議な夢を見た。
 パパと、ラベンダーやオレンジと。みんなでサンタのお祭りに招待される夢だ。

 龍が舞い、天使が歌い、花が咲く
 百年に一度のサンタ祭
 人間の少女は調和を知った
 そこには描いた理想があった
 いつの日か、こんな風になれたらな
 いつまでもいつまでも、祈りつづける

 

 さあ、大戦を始めよう

  ――ポテト

 『ラベンダーさんと黄金のリンゴ WWⅡ』より抜粋

 

                ――完