ラベンダーさんの育て方

植物擬人化小説

もし俺がFateに英霊として参加したら

『冒険王』田谷野航、ここに顕現

田谷野航

 

可愛いモグラ

 

Fateという言葉をご存知であろうか。destinyと同じく〝運命〟を意味する言葉だが、ニュアンスに違いがある。後者がポジティブな意味で使われるのに対し、前者は自分の力ではどうにもならない運命を表し、悲観的に使われる。

 

今日はFateシリーズというアニメ、あるいはゲームのお話だ。

 

目次だぜ

 

もし俺がFateに英霊として参加したら

 

一体全体どうしたんだい? と思われる方もいると思うが、まず聞いてほしい。

 

きっと頭にはてなマークが浮かんでいるのが俺自身よくわかる。

 

お前は何を言ってるんだと。自分でも無駄なことを書いているっていうことは理解しているの。そんなことバカなこと言ってないで、暇があるなら外に出てゴミ拾いでもなんでもいいから社会の役に立て。そう言われている気がしてならない。俺の中にいる守護霊というか、ご先祖さま的な俺がそう言っている。

 

でも、もし英雄になれるなら、どんな英雄になってみたいか。

ぶっちゃけ暇だから

理想の自分像をしっかりと定めておくのも、将来設計ではとても大切なことだ。

地に足ついた安定した生き方というのは、計画があってこそ。

というわけで俺は決めた。

 

どんな英雄になりたいか。

 

本題に入る前に、ここで簡単にFateシリーズについて紹介しておこう。まずは世界観。俺たちが住む現実世界が舞台で、魔術師と呼ばれる存在が歴史上の英雄を召喚して、なんでも願いが叶う聖杯をかけて最後の1組になるまで争うというもの。召喚された英霊はサーヴァントと呼ばれる。

 

やっほー! ドラゴンボールよりもちょろいぜェェェ!

と思った方は待たれよ。そうは行かないのが現実である。

 

聖杯はたったひとつだけ。ドラゴンボールでは、ボールを7つも集めないと願いが叶わない(それも地球中に散らばっている)わけだから、誰だって簡単だと思うだろう。

 

しかしこの聖杯、どうやら7組のライバルたちを倒さないと願いが叶う力がないのだ。やはり願いというのはそう簡単に叶うものではない。

 

ストーリーについては、これはどのFate作品にも共通して言えることだが、聖杯戦争という戦いを主軸として物語が進んでいく。ドラゴンボールで言えば〝天下一武道会〟を想像してもらえればわかりやすいだろう。

 

主人公の悟空が怪獣ギランや強敵ナムさんとの戦いを通じて、人間としてちょっぴり成長していく姿と似ていると言えなくもない。登場人物の中には当然、バクテリアンのように非道で、とても人間性を疑うような人物だって出てくるし、クリリン、おまえには鼻がないじゃないかっ!!!みたいな機転を効かせた逆転勝利は、ひとりの消費者として目が離せない。

 

手に汗握る攻防戦         一瞬の命のやりとり

        あの時ああしていれば

ああ……!?      銀色の雲、月夜の決闘

約束しただろ、なあ!! 起きてくれよ!   後に残るは後悔と自責

  侮辱された英雄の矜持    心には虚無と根源だけが支配する

    栄光とは? 理想の正義

       惨劇の戦場で、英雄は崇められ

 

悔しさのあまり涙を流してしまう者もいるが、そこはFate、ドラゴンボールと違い、涙を流す前にどさどさと死んでいくアダルティーな内容となっている。

 

だいたいわかって頂けたところで、本題に入ろう。

 

まずは俺の能力を決めよう

 

Fateでは召喚された英霊の能力は、逸話や伝承で決まる。

 

 

なんということだ。

 

俺は一般人だから伝承がないじゃないか。

 

俺の逸話、何かないか。このまま何もなかったら、能力に反映されない。何かなかったっけ、何か、何か……。

 

そうだ、思い出したぞ。俺は幼稚園の頃に穴掘り名人と呼ばれていたんだ! 嘘だと思うだろう? 実話だァッ!!

 

小学校に上がる頃には、メタモルフォーゼと称して服の中に膝を入れ、ミートボールになるというよくわからない特技があった。

 

(記憶の海底二万マイルから引っ張り上げた。別の世界線の自分ではないかと疑いたくなるぐらいおぼろげな記憶。ちなみにマイルというのは深さではないらしい)

 

これを能力にするぞ! ドラゴンボール、仮面ライダー、プリキュア。

強いやつはみんな変身する。

変身は資格だ。変身できるだけで主役になれるし、たとえ主役になれなくても、視聴者からもてはやされるモブキャラになれる。

 

宝具を決めよう

 

次は宝具だ。これは必殺技だ。これも自分の能力や伝説に応じて決まるらしい。

 

自分のルーツを思い出した俺にとって、宝具を決めることはそう難しくない。

 

光陰飲み込む崩星(エクスペンション・コラプサー)

 

具体的な能力は、空間に巨大な穴を開けて全てを飲み込み消滅させる。

半径50㎞の生命を感知できなくなるまで吸い込み続ける。

最後の手段。自分が勝てる見込みがなくなった時の技。

 

通常の武器はジャベリン・シャベルという遠距離用のスコップ。これで空間に穴を開けて別次元への移動を可能。空間を超えて遠距離を一瞬で移動することもできる。

 

遠距離用のスコップ……? まあいい。

 

クラスを決めるぜ

 

サーヴァントには基本のクラスが7つある。

  • セイバー   剣士
  • ランサー   槍兵
  • アーチャー  弓兵
  • ライダー   騎兵
  • バーサーカー 狂戦士
  • キャスター  魔術師
  • アサシン   暗殺者

これも簡単。武器が飛び道具だからクラスはアーチャー。

 

俺は、何に変身すりゃいいんだ?

 

問題は変身能力だ。

変身というのはだな、主人公の特権であり見せ場だ。視聴率確保の大事なシーン。それを、俺みたいな主人公って柄じゃないキャラが変身なんてさせてもらえるはずがない。

 

まずありえない。いかにしてFate製作サイドを納得させる……?

 

わからない、変身キャラになるために、俺はどうすればいいんだ?

 

いっそのこと、変身を諦めるか? だけど、変身は俺の夢なんだ。主人公にはなれないけれど、悪役に徹することもできない中途半端な俺だけど、子供の頃からの変身への憧れだけは、捨てたくないんだ。

 

俺は……お、れ……は……っ!!

 

ホシバナモグラという凄惨な姿になって、触手でFateの英霊たちや視聴者をわずらわせる。

 

それだ!!!

 

製作サイドも納得だ! ゲテモノ触手枠!

 

普段はいいやつだが、追い詰められたが末に変身して理性を失い、暴走して何もかもダメにしちゃうやつ。

これ!!! スターウォーズでいうジャー・ジャー・ビンクス。

 

物語が中盤に差し掛かり、テンポが悪くなってきた時に起爆剤として投入。同盟を組んだ仲間たちを何人か殺し、最後は自害。

 

もう満足だよ。なんの取り柄もない俺が英霊として変身キャラになれるんだ。感無量。

 

俺の伝承を作るぜ!

 

田谷野航は日本の地質学者。世界中の地質研究に携わり、世界初の地球内部から裏側への到達に成功した人物である。2017年に地球の内部構造を明らかにしたのち、行方不明になる。現在も消息は不明。

 

生い立ち

20世紀末に東京に生まれた。生後三年で深さ20メートルにも及ぶ穴を掘り、周囲を驚かせた。幼稚園の頃、すでに穴掘りの才能は開花しており、友人たちから穴掘り名人と呼ばれていたという。しかしある日、田谷野が掘った穴に園児が落下するという事件が起こり、彼の将来を危惧した両親からスコップを取り上げられ、それ以降、勉強に明け暮れる日々を送る。転機が訪れたのは高校生の頃であった。幼稚園からの旧知の仲であるアンディー・ケイに「あれからお前はスコップを持たなくなった。お前が掘らないなら、俺が地球の裏側まで穴を掘る。そして、今度は俺がお前を穴に落とす」と説得され、再びスコップを手に取るようになる。大学にて論文『マントルの貫通と女心の貫通の比較方法』を発表後、博士号を取得。その後は世界各国の地質研究チームに所属していたが、ロシアで研究をしていたケイと再会し、幼少の頃より計画していた地球貫通プロジェクトを始動した。しかしロシアから地球内部へ穴を掘り始めて3年後、援助資金が底をつき計画を断念せざるをえない状況にまで追い込まれたが、同僚たちが地上へ撤退する中、ケイとスポンサーのアマンダ・ドブレフと共に動画配信サイトYouTubeにて毎日『掘ってみた』という動画を上げ続けた。当初は批判が殺到するも徐々に人気に火がつき、資金の確保に成功。晴れて一流YouTuberの仲間入りを果たし、アクシスホールは南アメリカに貫通。念願の地球内部から裏側への到達に成功した。

 

突然の行方不明と謎

2017年12月、田谷野は自分の研究チームと共に南アメリカ側からアクシスホールへ入り、姿を消した。ロシアとアメリカ警察が総力を挙げて探したが、アクシスホールの長さは1万2800㎞。そのあまりの長さと不確定要素の多さにより捜索は難航。彼の姿はおろか、遺体を見つけることさえかなわなかった。政治的思考が絡んだ人為的な事件説などの陰謀論も含めて噂されていた。誤って内核に転落した可能性もあったが、田谷野の髪が内核の先、ロシア側にて発見されており、鑑定の結果当日に抜け落ちたものと推定。内核落下説は否定された。最後に田谷野の姿を見た助手のラモン・ノヴァロによれば「すぐに戻ってくると言ってトイレに行ったが、彼が戻ってくることはなかった」。田谷野の捜索、及び事件の調査は三ヶ月で打ち切られた。調査の再開を求める声もあるが、現在再開の目処は立っていない。

 

田谷野の言葉

 スコップで貫通しちゃったよ、すっげえええ!

 

なあラモン、アマンダって赤いパンツしかはかないんだぜ

 

生まれ変わったらモグラになる!

 

俺は女の穴の貫通も得意だぜ!

 

エピソード

アクシスホールが貫通した時にアマンダ・ドブレフにプロポーズし、結婚した。ドブレフは数週間前にラモンと破局したばかりだったが快諾。ラモンは「二人が幸せなら、ぼくも幸せ」と言い、結婚式では祝辞を述べた。

 

 

 

今ざっと設定してみたけど、なんだこれ、俺かっけええええええええええ!!

 

つうか殺されてんじゃねえか。

 

というわけで、俺は英霊になったのだった。  

 

さァァァ、いろいろ決まったところで召喚されるぞォォォォォ!!

 

おまえが俺のマスターだな、俺はアーチャー! ってラモンじゃねえか!? 俺のこと殺しやがって、アイェェェェェェェ!!

 

ホシバナモグラ